中村不折を随所にみかける「書道博物館」台東区根岸

 

書道、学校の授業でも必修になっている科目。その書道についての博物館が、台東区の根岸にある。 

 

その博物館は、もとは中村不折の自宅であった。彼は、洋画家であり、書家でもあった人物。

 

ご存知の方もそうでない方も清酒の「真澄」や、「新宿中村屋」のロゴを見たことがあるのではないだろうか。それは中村不折が書いたものである。

 

本日の訪問先

書道博物館

『書道博物館』

 

日本だけでなく中国の書道に関する専門博物館。中は、本館と中村不折記念館の2館に分かれている。

 

中村不折が収集したコレクションを自宅で展示したのが始まり。代々中村家が管理していたが、台東区に寄贈した。そして、2000年に台東区立書道博物館として開館。

 

 

館内について

中村不折

中庭には、桜の木があり、中村不折の銅像も置かれている。

 

中村不折

中村不折が転居する前の敷地内にあった蔵を移築復元。道路拡張工事によって発見された蔵。明治時代の大谷石造り(おおやいしづくり)の蔵は、貴重なため復元された。大谷石造りとは、栃木県の大谷町付近で採掘された石材を使って建てられているということ。

 

 

展示について

訪れるまで知らなかったのだが、東洋美術の貴重な品が収蔵されている。その中には、重要文化財12点、重要美術品5点を含む。

 

本館

書道博物館

展示室内は、撮影禁止だが、本館に唯一の撮影スポットがある。ここにだけ四角いエリアがあり、その中からの写真撮影ならOK(入口入ってすぐ左手)

 

常設展示エリアになっている。書道というと、紙の書かれた書を思い浮かべるかと思う。しかし、紙が生まれる前の金属や石といった書関連の資料をメインに展示。(仏像、石碑、青銅器など)

 

 

中村不折記念館

紙に書かれた書道関連は、こちらに展示されている。年に4回、企画展の展示が開かれる。また、中村不折記念室もあり、不折の関係資料が紹介されている。

 

 

随所に中村不折

中村不折

写真は、中村不折の似顔絵。 

 

そもそも「中村不折」とは、どういった人物であったのだろうか。

 

1866年、東京都生まれ。まだ江戸の頃である。父の郷里である長野県で青年時代まで過ごし、画家を志す。1895年、正岡子規とともに、日清戦争従軍記者として中国に渡り、書に興味を抱くようになる。そして1908年に書かれた『龍眠帖(りゅうみんじょう)』は、独特の書体から書道界に衝撃を与えた。

 

その後、印象的だが親しみやすい中村不折の書は、店名や商品名に用いられるようになる。また、夏目漱石『吾輩は猫である』島崎藤村『若菜集』などの挿絵も手掛けた。1943年、死去。

 

このような人生を送った「中村不折」、彼のコメントを見ることができる! とはいっても、実際に彼がコメントしたわけではないが。

 

どういうことかというと、全ての展示解説に、その展示が何かという説明だけでなく、書自体についてのコメントも一緒に書かれている。例えば、「力強さが性格を表している」や「動揺があったのか書に乱れがある」など。

 

それらが、まるで中村不折が喋っているように表記されているのである。内容は、学芸員の人が考えているのだろうが、非常に分かりやすい上に親しみやすい。

 

さらに案内板もよく見て欲しい。 順路の「路」右下にある「口」の部分。なんと、中村不折の似顔絵になっている。これも、お見逃しなく。

 

それだけではない、中村不折を見られるのは!

 

書道博物館

博物館の注意書きにも、中村不折が潜んでいる!

 

つまり、注意書きの文字が中村不折の字なのである。実際には、学芸員の中村さん(血縁ではない)が、中村不折の字をまねた直筆の貼紙である。

 

また、その注意書きが、クスッと笑える内容になっている。例えば、「館内ではお静かにお願い致します」、「まれに展示解説の方がうるさい場合がございます」、「防犯カメラさりげなく作動中」、「館内でのモグモグタイムは御遠慮下さい」など。

 

このような注意書きが、館内のあちこちに貼られているので、こちらも要チェック!

 

 

 

 

まとめ

訪れるまで、「書道博物館」という名前から伝わってくるような固い内容の展示ばかりかと思っていた。確かに、展示品の内容は、一般の人にはあまり馴染みのない難しい書道関連のものばかり。

 

しかし、親しみやすくする工夫を随所にみかけた。そうした中村不折を前面に出していくスタイルは、賛否両論あるだろう。個人的には、そのおかげで、とても親しみやすく理解が深まった。

 

館内を歩いていると、ところどころで出会う中村不折。それが、訪れる人を楽しませていることは間違いない。そして、展示室内は撮影禁止のため、訪れた人のみが知ることのできる特典ともいえる。

 

ぜひ一度ご覧あれ!

 

 

デート向き ★★☆☆☆

子ども向き ★★☆☆☆

外国人向き ★★☆☆☆

(5段階評価、★が多い方が向き)

 

 

 

台東区立書道博物館

開館時間:9時30分から16時30分まで

 

休館日:月曜(祝日の場合、翌日)、年末年始

 

入館料:大人500円 小人250円

5館共通入場券が1000円で販売(大人のみ、1年間有効)

[一葉記念館・書道博物館・朝倉彫刻館・旧東京音楽学校奏楽堂・下町風俗資料館の5館]

 

電話番号:03-3872-2645

 

住所:東京都台東区根岸2-10-4

JR山手線「鶯谷駅」より徒歩4分

 

駐車場:なし

 

併設カフェ:なし

 

併設ショップ:あり、図録や中村不折のグッズなど

 

図書コーナー:あり(中村不折記念館の受付前にわずか)

 

WiFi:あり

 

写真撮影:展示室内は、本館の1ヶ所のみOK

 

外国語対応:一部タイトル等のみ英語表記あり

英語の音声ガイドあり(有料200円)

 

サービス:

「本館」エレベーターなし(階段のみ)

「中村不折記念館」エレベーターあり、多機能トイレあり、返却式コインロッカー

 

近隣情報:

「子規庵」正岡子規晩年の家

「ねぎし三平堂」初代林家三平の記念館

 

公式サイト:

http://www.taitocity.net/zaidan/shodou/

 

地図: