「ACE」、このブランドロゴを目にしたことはあるだろう。詳しいことを知らなくても、様々な鞄で見かける、
ACEとは、エース株式会社のこと。日本の鞄メーカーである。
かつては、スーツケースで有名な「サムソナイト」の鞄をライセンス契約で製造販売していた。それだけ信頼があり高い技術があるということ。
現在、東京都渋谷区に本社がある。以前は、東京都台東区に東京本社があった。今も建物は残っており、カスタマーセンターとミュージアムが開設されている。
本日の訪問先
『エース株式会社 東京店』
一棟まるまるエースの関連施設になっている。そして、この建物の中に、2館ミュージアムがある。
7階は、『世界のカバン博物館』。世界中の多種多様なカバンが紹介されている。最上階の8階は、『新川柳作記念館』。創業者の生涯とエースの社史について展示されている。
世界のカバン博物館
まず、7階へ。ワンフロアー全て、展示スペースになっている。
1975年に当時としては珍しい「企業内博物館」を開いたのが、はじまり。世界の国にはそれぞれカバンの歴史があり、独自の文化・風俗を知ることができる。より多くの人に、そういった海外のカルチャーを知ってもらうため開設した。2010年には、大幅なリニュアールを行う。
現在では、世界中のカバン約550点を収蔵しているとのこと。また、鞄そのものだけでなく、材質から製造方法といったことも紹介されている。
カバンの歴史
古代から現代までのカバンの歴史が説明されている。運ぶための器が道具のカバンとなり、材質の移り変わりや、ファスナーといった画期的な発明などわかりやすく解説されている。
著名人のカバン
左から、「サッカーの香川真司」「卓球の福原愛」「柔道の山下泰裕」のスーツケース。
他にも、「野球の長嶋茂雄」「冒険家の三浦雄一郎」「スケートの羽生結弦」「アントニオ猪木」といった著名人の愛用した鞄が展示されている。
カバンで巡る5大陸の旅
「ヨーロッパ」「アフリカ」「アメリカ」「オセアニア」「アジア」とエリアごとに分かれ、世界各地の鞄が展示されている。
海外の鞄も、材質は革や布といった見慣れたもので作られていることが多い。しかし、デザインはやはり日本では見かけないもの。その土地にあった模様なのだろう。
そんななか、日本の鞄でも珍しい材質で作られたものがあった!
中断左側:鰻皮
下段の左側:鮭皮
下段の右側:穴子皮
鰻皮(うなぎのかわ)
太平洋戦争のとき、牛・豚・馬の皮革は、軍事優先の統制品目であった。そのため、代わりに使われた。
鮭皮(さけのかわ)
アイヌの人々が使っていた皮。また、鰻皮同様代用のため使われていた。
穴子皮(あなごのかわ)
ほとんどが食用にされるため、鮭や鰻の皮以上に珍しい皮である。
企画展示
7階の一部は、企画展示エリアになっている。大学や専門学校の学生がデザインしたカバンの展示が開かれることが多い。
今回は、東京芸術大学との共同プロジェクト『エース株式会社デザイン展 モチハコブカタチ』が開催されていた。
また8階の一部も、企画展示エリアになっている。
8階の概要
リュックが支持される理由の紹介、企画展示エリアの一部、新川柳作記念館、ビューラウンジになっている。
東京スカイツリーがくっきり見え、とても景色が良い。7階のカバン博物館だけでなく、眺めの良い8階も一見の価値あり!
新川柳作記念館
2015年7月31日に開かれた。創業者の生誕100年目にあたる。
新川柳作の生涯から始まる
日本初のナイロンバック、国産のスーツケースなど、エース株式会社の社史が分かる展示内容になっている。
ことばとの出会い
記念館のちょうど中央に、ひときわ目立つ展示がある。
カバンを置くと、真ん中のガラスに世界中の名言が映し出される。名言はいったい何パターンあるのか分からない、毎回変わるようになっていた。(台のセンサー部を隠せるなら、カバン以外でも問題ない)
創業者・新川柳作は、言葉によって支えられた。このことから、言葉には目に見えない大きな力を与えてくれると考えていた。
特に心の支えとなったのは、「今に見ていろ 僕だって 見上げえるほどの大木に なって見せずにおくものか」。教科書で学んだ「椎木と樫の実(しいのきとかしのみ)」という童謡にあった言葉。
そういったことから、このような名言を集めた展示があるのだろう。
また、1963年から毎年、古今東西の名言を日めくり式にして冊子を作製している。建物1階の受付に置いているので、来館者は自由に受け取ることができる。
まとめ
「カバン」というものから、世界各地の文化を知ることができる。そして鞄の歴史、材質、製作方法まで紹介されている。「鞄がどのように作られているのか」、「海外ではどのようなものがあるのか」といった疑問に答えてくれる。
それだけでなく、鞄のデザインの勉強にもなるだろう。これだけ希少な外国製鞄を、見ることができるのは、ここだけである。日本では全く目にすることができない装飾。滅多にない材質の鞄が揃っているため。
まさに、「カバン」づくしのミュージアム!
しかし、それで満足せず、ぜひ上階の記念館へ。カバンの現代史ともいえる、エースの歴史が分かる。だけでなく、人生の支えになる名言に出会えるかもしれない。
さらに大パノラマの休憩スペースもある。浅草観光の休憩がてら訪れるのも良いだろう。快適な環境で、スカイツリーを望める!
世界のカバン博物館&新川柳作記念館
開館時間:10時から16時30分まで
休館日:日曜、祝日、年末年始
(土曜日が祝日の場合、開館)
入館料:無料
電話番号:03-3847-5680
住所:東京都台東区駒形1-8-10
各線「浅草駅」より徒歩5分
駐車場:なし
併設カフェ:なし
併設ショップ:なし
図書コーナー:なし、情報端末のPC1台(7階)
サービス:エレベーターあり
イベント:なし
公式サイト:
地図: