東京23区のひとつである、荒川区。西日暮里、町屋、南千住といった大きな駅が、区内にはある。また都電荒川線の始発である三ノ輪橋駅もそうである。
荒川区といえば、下町といった印象を持つ方が多いのではないだろうか。そして、多くの職人が住んでいるといったイメージ。
昔はどのようなところであったのか、気になる人もいるのでは。そういった人は、「荒川ふるさと文化館」へ行くと詳しく知ることができる。
本日の訪問先
『荒川ふるさと文化館』
あらかわの歴史と文化を知れる資料館になっている。建物内には、文化館以外に、
南千住図書館、あらかわ工芸ギャラリーが開設されている。
荒川ふるさと文化館
常設展示と企画展示の2つのエリアに分かれている。展示室内は、残念ながら撮影禁止。
常設展示
あらかわの原始
荒川区の大部分は海であり、台地上に人が住んでいた。
あらかわの古代・中世
台地から、低地へ人々の生活の場が広がる。
あらかわの近世
江戸時代になると、五街道である日光・奥州街道の初宿(千住宿)に指定される。それにより、多くの人が行き交い賑わうようになる。
あらかわの近代
明治時代に入ると、官営千住製作所はじめ大きな工場が相次いで設立された。東京の中心に近いこと。近くに大きな川があるので水を得やすいこと。鉄道も整備されるようになったこと。といった理由から、工場の街であった。
あらかわの現代
戦後も、京浜工業地帯の一部として、工場が多かった。また東京の人口が増加するにつれ、宅地化が進んだ。
以上のように、時代順にあらかわの歴史・文化を知ることができる。
他にも、昭和41年(1966年)頃の空間と暮らしを復元したエリアがある。規模は大きくないが、当時の家屋や街並みが再現されている。
食卓をよく見ると、おかずが冷奴と漬物しかなかった…。その時代なら当たり前かもしれないが、現代の感覚だと質素な暮らしに感じた。
そういった細かいディテールにもこだわっているので、ぜひ面白い発見を!
企画展示
今回の展示は、『道具が語る昭和の暮らし展 PART.2』(2019年2月17日まで)
戦後復興期から高度経済成長期の、昭和の道具が展示されていた。
たらいと洗濯板、足踏みミシン、木製冷蔵庫、電気掃除機、箱火鉢など、昭和の道具と現代の道具が比較で置かれていた。けれど、電気アイロンの現代版が、すでに最近では見かけない非常にごついタイプになっていた…。(たぶん、平成初期頃のもの)
あらかわ伝統工芸ギャラリー
荒川ふるさと文化館の隣 、ここは撮影可能である。
荒川区内の伝統工芸品が展示されている。
江戸小紋見本
引き出しの中に、見本が収納されている。「江戸小紋」とは、江戸時代の武士正装「裃(かみしも)」の文様。型紙を使って、細かい柄を染める。
江戸小紋染め職人の見本。作品を作り上げていく過程で使う、さまざまな図案や色、生地の例になる。師匠から受け継いだり、自分たちで作ったものが大半で、注文内容に合わせて参考にする。
まとめ
「あらかわ」の過去から現在まで、広く浅く取り扱っている。だから、気になったトピックを調べるのがよいだろう。
丁度良いことに、文化館のある建物2、3、4階には図書館が併設されている。だから、気になったことをすぐに調べられる学習環境が揃っている。
見学後、小塚原刑場について調べてみた。江戸時代、三大刑場の一つ。杉田玄白が罪人の腑分けをしたことで有名な場所。位置は、現在の荒川区南千住にあたる。詳細については、割愛する。
また、荒川区に工場が多かったということは、ほとんど知らなかった。言われてみれば区内を歩いていると、現在でも工場をどころどころで見かける。大きな工場ではないが、名残なのかもしれない。そういった気づきを得ることもできる。
荒川ふるさと文化館で、触りを知り、図書館で掘り下げる。そういった循環を生み出すことによって、「あらかわ」についてより一層知る。あらかわLOVERが増えるのである。
荒川ふるさと文化館 基本情報
開館時間:9時30分から17時まで
休館日:年末年始、毎月第2木曜、毎週月曜(月曜が休日の場合、翌日休館)
入館料:100円
電話番号: 03-3807-9234
住所:東京都荒川区南千住6-63-1
各線「南千住駅」より徒歩8分
サービス:エレベーターあり、多機能トイレあり
イベント:あり、文化財講座など定期的に開かれる
公式サイト:
https://www.city.arakawa.tokyo.jp/arapura/furusato/index.html
地図: