国立印刷局王子工場の隣「お札と切手の博物館」北区

 

お札や切手といった身近なものが、どのように出来ているのか。1度は疑問を抱いた人も多いのでは。

 

そもそも、お札や切手は、どこで作られているのか。全国にある6つの工場で、印刷されている。その工場を運営しているのは、独立行政法人国立印刷局である。国立印刷局とは、紙幣、切手、政府刊行物等の印刷を行っている組織。

 

工場の場所は、東京・王子・小田原・静岡・彦根・岡山の6ヶ所ある。東京都には、東京と王子の2ヶ所あり、王子工場の王子駅のそばに位置する。その工場の隣に、お札と切手に関するミュージアムがある。

 

本日の訪問先

お札と切手の博物館

『お札と切手の博物館』

 

大蔵省印刷局の創立100年を記念し、1971年市ヶ谷に開館。しかし、事業仕分けによって、2010年に閉館となった。そして、翌年に規模を縮小し、王子工場の隣接施設に開館。

 

このような経緯のもと、オープンした博物館は、一体どのような展示があるのか。やはり国立印刷局が運営しているため、お札や切手について、どのように作られているのかといった展示がメイン。

 

以下、ミュージアムのご紹介!

 

施設 1階

お札と切手の博物館

まず館内に入って思ったことは、狭い! 狭いは言い過ぎだが、国の行政が運営している施設では、狭い方だろう。1階だけでなく2階もあるが、規模はあまり大きくない。

 

展示内容から話はそれたが、1階はお札がどのように作られているのか解説されている。

 

 

ドライオフセット凹版輪転印刷機の模型

お札と切手の博物館

国立印刷局が開発したお札専用の印刷機。実物の装置のミニチュアサイズ、電源を入れると本物のように動く。

 

この装置は、「地紋印刷」「凹版印刷」を同時に行える装置とのこと。初めて聞く言葉ばかりだと思います。「地紋印刷」は、様々な技法があり、カラフルで精巧な印刷ができる。「凹版印刷」は、印刷する際に、圧力をかけ、インクをつけるため、仕上がりを指で触るとザラザラしている。

 

偽造防止のため、このように印刷方法を組み合わせている。

 

 

紙幣の特殊なインクが見える装置

お札と切手の博物館

赤いボタンは通常のライトだが、緑のボタンは紫外線(ブラックライト)。どうして紫外線かというと、特殊発光インクは紫外線でないと見えないため。

 

お札には特殊発光インクがついており、紫外線があたると特殊発光インクの部分が浮かび上がる。

 

全ての種類のお札に、特殊発光インクは付いている。もしブラックライトをお持ちの人は、暗いところでお札に当ててみると、見ることができるのでお試しあれ!

 

 

紙幣の透かしを見られる展示

お札と切手の博物館

赤いボタンを押すと、ライトが点灯し、お札の「すかし」を見ることができる。昔のお札では、端にあった透かし。しかし、現在は、真ん中に透かしがある。

 

お札と切手の博物館

「すかし」の仕組みは、どうなっているのか。実は、紙の厚さを変えることによって、模様を表現しているのである。紙の厚さが違うと、光の通り具合に差ができ、濃淡ができる。その濃淡を調整し、模様を作り出しているのである。

 

要するに、「すかし」として認識しているのは、実際は紙の厚さが違うことによる濃淡である。厚さが違うと、光の透け具合が変わるので、それが模様に見えているだけである。

 

説明が分かりづらい場合、ちょっと違うが、一時流行りになった醤油を入れると模様が浮かび上がる皿をイメージすると分かりやすいかもしれない。あれは、醤油の入ったところと入っていないところで濃淡ができ、模様になった。

 

お札の場合は、醤油ではなく、光の透過量によって模様が浮かびあがるというイメージ。

 

ぜひお札をかざして、「すかし」を観察してみれば、より実感がわくはず。

 

 

1億円の重さを体験できるコーナー

お札と切手の博物館

1億円の重さ ≒ 10㎏

 

 

目打ち&スタンプコーナー

お札と切手の博物館

目打ちとは、切手のまわりにあいている切り取り用の穴のこと。紙を入れて、レバーを下げると目打ちされた「印刷局」の文字が浮かび上がる。

 

以上が、1階の展示。

 

 

施設 2階

お札と切手の博物館

2階には、珍しいお札・切手の紹介。それと、お札の歴史と切手がどのように作られているのか解説されている。

 

 日本の珍しい切手

お札と切手の博物館

 

 世界の珍しい切手

お札と切手の博物館

 

 

お札と切手の博物館

紙ではないコルクでできた切手や、世界最大の切手などデザインを見ていて飽きることはない。切手自体にあまり興味がない人でも、デザインが面白い!

 

 

世界の珍しい紙幣

お札と切手の博物館

世界最大額の紙幣100兆ジンバブエドルや、ベリーズの金箔紙幣など、今まで見たことないようなお札が一堂に集まっている。

 

 

 

まとめ

訪問する前まで、入場無料なうえに、事業仕分けされた博物館のため、あまり大したことがないのではと思っていた。

 

しかし、訪れてみると、展示内容は想像と違い、とても充実していた。確かに、展示スペースはそんなに広くはないが。

 

お札や切手の印刷・偽造防止方法が誰にでも分かりやすく解説されている。そのうえ、世界中の珍しいお札と切手の展示もある。それらは、学術的な資料のみならず、デザインの勉強にもなる。特に珍しい切手は、アイディアの宝庫だ!

 

過去を振り返ると、国立印刷局王子工場の隣接施設に追いやられ感がある。だが、それにも負けず、展示は面白い。学術的だけでなく、芸術的にも。これからも、開館し続けて欲しい博物館である!

 

 

デート向き ★★☆☆☆

子ども向き ★★★☆☆

外国人向き ★☆☆☆☆

(5段階評価、★が多い方が向き)

 

 

 

お札と切手の博物館

開館時間:9時30分から17時まで

 

休館日:年末年始、臨時休館日、月曜(祝日の場合は開館し、翌日休館)

 

入場料:無料

 

電話番号:03-5390-5194

 

住所:東京都北区王子1-6-1

各線「王子駅」より徒歩3分

都電荒川線「王子駅前」より徒歩3分

 

駐車場:なし

 

併設カフェ:なし

 

併設ショップ:なし

 

WiFi:なし

 

写真撮影:OK、ただしフラッシュはNG

 

イベント:凹版印刷体験など開かれる

 

サービス:多機能トイレあり

 

公式サイト:https://www.npb.go.jp/ja/museum/

 

地図: