使って保存の先駆け、豊島区の「自由学園明日館・講堂」へ

 

日本の一流ホテルである、帝国ホテル。設計したのは、アメリカの建築家であるライト。その人物と、弟子の遠藤新による建物が、自由学園の校舎である。

 

自由学園とは、クリスチャンであった羽仁夫妻により、1921年に女学校として設立された。従来の教育ではなく、キリスト教に基づいた人間教育を実践している。例えば、生徒たちで作物を栽培し、自ら食事づくりを行っている。このように、生活すべてを学びの場と考えている。

 

1997年には、国の重要文化財に指定されている。重要文化財と聞くと、日常的に立ち入ることができない場合が多い。しかし、この校舎は、動態保存のため、普段から使うことができる。(動態保存とは、使用しながら保存すること)

 

 本日の訪問先

自由学園明日館講堂

『自由学園明日館講堂』

 

自由学園明日館講堂

ライトの弟子である遠藤新が設計し建てられた。1927年に完成した。

 

自由学園明日館講堂

この講堂は生徒数の増加により、中央棟のホールが手狭になったため建設された。

 

講堂トイレ

自由学園明日館講堂

昭和初期のトイレ。こちらは使用できないが、文化財として残されている。

 

自由学園明日館講堂

左:女性用トイレ

右:男性用トイレ

 

2016年には、TOTOによる学術調査も行われた。

 

女性用トイレ

自由学園明日館講堂

このトイレは、2015年から2017年まで行われた講堂の耐震補強工事を機に発見された。それまでは、ベニヤ板で封鎖され、備品倉庫として使われていた。

 

自由学園明日館講堂

 

保存状態良く残存している理由は、その点にある。

 

自由学園明日館講堂

 

当時のトイレを、今に知れる。

 

自由学園明日館講堂

お気づきだろうか。ぺーバーフォルダーの位置が、今と違うことに。昭和初期は、洋式トイレが導入されたばかり。ゆえに、現在と逆を向いて使っていたからではないかと言われている。

 

自由学園明日館講堂

木製の水洗タンクや便座は、今日ではお目にかかれない貴重なもの。

 

男性用トイレ

自由学園明日館講堂

女子トイレ同様、木製の水洗タンク・便座である。小便器は、今とあまり変わらない。

 

 

自由学園明日館

自由学園明日館

ライトが設計した自由学園誕生時の校舎。(中央棟と東西教室棟)

 

残念ながら、結婚式の二次会が行われていたため中を見れず。

 

 

 

まとめ

国の重要文化財に指定されている、自由学園明日館講堂。価値ある建造物の状態を良好に保つには、極力使用しない方が良い。という考え方の人も多い。

 

しかし、明日館・講堂ともに、結婚式やコンサートなど様々な用途で使うことができる。日本でもまれな文化財を使用しながら保存する「動態保存」の先駆けである。

 

自由学園の理念は、「真の自由人を育てる」。良い生き方をするため、何が良いか自ら問う。与えられた自由をどのように使うか、自ら考え判断し行動する。その理念があるからこそ、文化財の使用が一般にも開放されているのだろう。

 

「あなたは、どう使うか」

 

それは、どのように使うのが良いかという問いだけではない。個々の人が持つ人間性を問われている。

 

 

デート向き ★★★☆☆

こども向き ★☆☆☆☆

外国人向き ★★☆☆☆

(5段階評価、★が多い方が向き)

 

 

 

自由学園明日館・講堂 基本情報

開館時間:平日10時から16時まで、休日10時から17時まで

 

休館日:年末年始、毎週月曜(祝日の場合、翌日休み)

 

入館料:無料(講堂は無料、明日香館は有料)

 

電話番号:03-5906-5671

 

住所:東京都豊島区西池袋2-31-3

JR山手線「目白駅」より徒歩7分

各線「池袋駅」より徒歩5分

 

駐車場:なし

 

併設ショップ:あり、明日香館中央棟のそば

 

公式サイト:https://jiyu.jp/


地図: