精巧な模型を見られる「小伝馬町牢屋敷展示館」中央区日本橋小伝馬町

 

罪を犯した人が、刑の重さによって、刑務所へ行くのが近現代。

 

それでは、江戸時代はどうなっていたのだろう。刑務所のようなものがあったのか、時代劇で見るような牢屋(ろうや)が実在していたのか。

 

結論を述べると、牢屋があった。牢屋敷というものがあり、そこに収容されていた。

 

江戸時代、もっとも大きい牢屋敷は、小伝馬町牢屋敷(こでんまちょうろうやしき)である。現在、牢屋敷は残っておらず、跡地に別の建物が立っている。

  

本日の訪問先

小伝馬町牢屋敷展示館

『十思湯スクエア別館』

 

十思湯は、2014年にオープンした銭湯。サウナも完備している。だが、銭湯に入りに来た訳ではない!

 

小伝馬町牢屋敷跡に建てられた、「十思スクエア別館」の1階に用がある。銭湯は2階なので、その下のフロア。

 

玄関を入り進むと、すぐ目に付いた。

 

 

小伝馬町牢屋敷展示館

小伝馬町牢屋敷展示館

なんじゃこりゃあ!!!(笑)

 

公式サイトには、展示館と書かれていたので、「館」と呼べるほど大きくなくても、「室」ぐらいはあるだろうと勝手に思っていたから。

 

これは展示スペースでは・・・。

 

小伝馬町牢屋敷展示館

スペースはほんのわずかだが、小伝馬町牢屋敷模型は精巧に作られている。

 

小伝馬町牢屋敷

上からみたイラストもあり、詳しい解説が書かれたパネルと一緒に展示されている。

 

牢屋敷は、徳川家康が江戸へ入った当初は、現在の日本銀行あたりに置かれていたが、1618年頃に小伝馬町に移転されたという。そして、明治に入り市谷監獄が設置されるまで使われていた。

 

小伝馬町牢屋敷では、渡辺崋山、高野長英、吉田松陰、鼠小僧次郎吉といった今日でも著名な人物が収監されており、入獄されたものは数十万人に上るといわれている。

 

 

牢屋敷内について 

牢屋だけでなく、牢屋奉行の屋敷や牢役人の長屋(ながや)も置かれていた。

 

幕府の責任者はいるが、囚人による自治が行われており、町奉行も認める牢名主(ろうなぬし)を頂点とした、厳しい階級社会になっていた。

 

 

牢屋

小伝馬町牢屋敷展示館

実際には屋根がついていたが、外からは見えるように格子(こうし)になっていたと考えられる。

 

そして牢は、囚人の身分によって5種類(大牢・二間牢・揚屋・奥揚屋・揚座敷)あり、さらに東西に分かれていた。

 

しかし、女囚は身分に関係なく、原則、「西口揚屋(にしぐちあがりや)」に収容されていた。そのため、「女牢(おんなろう)」とも呼ばれた。

 

 

拷問蔵

小伝馬町牢屋敷展示館

中央右手、牢屋の奥にある「拷問蔵(ごうもんぐら)」名称の通り、拷問用の土蔵である。

 

以前紹介した明治大学博物館の記事に書いた「石抱(いしだき)」「釣責(つりぜめ)」といった幕府指定の拷問が行われた。

 

解説とは関係ないが、ガラスに模様が入っていることにお気づきかと思う。なぜ模様が入っているのか分からないが、模型が見づらい・・・。

 

 

首斬場(死罪場)

小伝馬町牢屋敷展示館

江戸幕府が定めた刑罰のうち、「下手人(げしにん)」と「死罪」はここで行われた。(死刑は6種類あり、罪状によって方法が違う)「下手人」は、斬首のみだが、「死罪」になると、斬首後に死骸を試し斬りされる。

 

小伝馬町牢屋敷に投獄されていた吉田松陰も、ここで処刑された。

 

 

牢屋敷の井戸と水道管

小伝馬町牢屋敷

建物の外には、牢屋敷内のために使われていた上水井戸と上水木桶(現在でいう水道管)を見られる。

 

現在の場所に本来はなく、20mほど離れたところにあったものを移築復元した。

 

井之頭池に水源がある、神田上水から引き込まれた水ではないかと考えられている。

 

小伝馬町牢屋敷

井戸と木桶らしきものは見えるが・・・。

 

これは・・・。

 

ガラスが曇り過ぎでは・・・。

 

ないだろうか・・・。

 

 

牢屋敷の石垣

小伝馬町牢屋敷

前述した井戸と同様、この石垣も本来見つかった場所から30mほど離れたところに移築復元されたもの。他にも、複数の石垣の連なりが発見されている。

 

そのことにより、牢屋敷の外周にある塀だけでなく、敷地内も石垣で仕切られていたことが分かった。

 

牢屋敷跡から出土した石を使っている場所が、この石垣以外にもあるので、ぜひ探してみては!

 

 

まとめ 

模型を見た瞬間、これしかないのか?! と衝撃が走った。

 

しかし、模型を見て解説をしっかり読むと、小伝馬町牢屋敷があったということを具体的に想像できる!

 

このように、江戸時代も現代と同様、罪を犯した人間を収容する牢屋敷が置かれていた。牢屋に入った人は、身分による待遇の違いもあったが、基本的に劣悪な環境のため、早死にすることも多かったという。

 

今日では、直接的な面影をみることはできない。

 

けれど、隣接している十思公園には、「銅鐘 石町時の鐘」が設置されている。江戸の時を知らせていた鐘である。(1930年、現在の場所に移された)さらに、十思公園の道路挟んで向かいには、「江戸伝馬町処刑場跡」の石碑がある大安楽寺が位置する。

 

それらは、ここが歴史的な場所であったことを今に伝える。あわせて訪れると、なおいっそう小伝馬町牢屋敷への見識が深まる。

 

 

デート向き ★☆☆☆☆

子ども向き ★☆☆☆☆

外国人向き ★☆☆☆☆

(5段階評価、★が多い方が向き)

 

 

 

小伝馬町牢屋敷展示館

開館時間:9時から20時まで

 

休館日:日曜、年末年始

 

入館料:無料

 

電話番号:03-3546-5346

 

住所:東京都中央区日本橋小伝馬町5-19

(十思スクエア別館内)

メトロ日比谷線「小伝馬町駅」(4番出口)より徒歩3分

 

併設カフェ:なし

 

併設ショップ:なし

 

図書コーナー:なし

 

WiFi:なし

 

外国語対応:なし

 

サービス:多機能トイレあり(1階)

 

公式サイト:https://chuoku-machikadotenjikan.jp/tenjikan/royashiki/

 

地図: