大学のキャンパス内に、ミュージアムを開設しているところは多い。たいてい、一般の人向けに開放されており入館料は無料である。
中でも展示が充実しているという噂の場所がある。それは、國學院大學の博物館である。國學院大學と聞いて、箱根駅伝の常連校といった印象が強いかもしれない。はじまりは、日本の古典や文化など(国学)を研究するため開設された。といったことから、校名にもなっている(國學は、旧字体)
そういった経緯があるので、神道に関する展示などここでしか見ることの出来ないものも多い。
しかし、駅から遠い…。渋谷キャンパス内に、博物館はある。渋谷駅から近いのか思うが、どの駅からでも10分以上は歩く。けれど、バスならキャンパスの前まで行くのでご安心を。
本日の訪問先
『國學院大學博物館』
博物館内は、常設展と企画展と分かれている。さらに常設展は「校史」「考古」「神道」と、3つのエリアになっている。(校史・考古エリアのみ写真撮影OK)
常設展・校史エリア
有栖川宮家ゆかりの勲章
なぜ宮家(皇族)ゆかりものが紹介されているのか。さらに大学の歴史をたどると、1882年に創立された「皇典講究所(こうてんこうきょうじゅ)」が母体であった。そして、初代総長は有栖川宮幟仁親王。そのためである。(皇典講究所は、明治政府が設立した神職の機関)
國學院の系譜
少し分かりづらいかもしれないので、國學院大學の歩みを整理。「皇典講究所」が創立される→「國學院」が設置→「國學院」が独立し、専門学校に昇格→「國學院大學」に昇格といった沿革になっている。
常設展・考古エリア
土器や石器の展示が充実
挙手人間土器
ファンタスティック! そのままの名前だが、人が手を挙げているように見える。古墳時代もの(4世紀頃)
他にも縄文・弥生土器がたくさん紹介されている。東京国立博物館より展示数は多いような気がした。
縄文時代の耳飾り
土器や石で作られている。穴が、大きい。アフリカの部族で、似たようなものを見たことがある。日本でも、そういう時代があったんだなしみじみ思った。どこの国でも、大きな耳飾りは象徴的な意味合いがあるのだろう。
縄文原体標本
縄文土器に付けられた文様が分類された棚になっている。引き出し全てに、様々な種類の文様がある。裏側の棚も同様なので、ざっとみて100種類は超えていた。
これだけ多くのものを作った縄文時代の人々に驚くが、それだけの種類を分類した、研究者にも驚いた。脱帽ものだ!
常設展・神道エリア
撮影禁止のため、残念ながら写真はありません。
各地の神道で使用される道具等、展示されている。たとえば、「石清水八幡宮供花神饌」や「吉田神道行事壇」など。
石清水八幡宮供花神饌
9月15日に行われる石清水祭において、神に供えられるもの。12台あり毎年新調する。和紙でつくった造花と動物を配置しており、花は季節ごとの12種類である。
吉田神道行事壇
吉田神道の行事で用いられる、炉を中心とした八角形の壇。吉田神道は、吉田兼具が15世紀頃に完成させた神道
企画展は、刀剣
刀、美しいものだと本当に吸い込まれるような魅力がある。ただここに展示されているものは、東博で展示されているものほど魅了されなかった。それは照明のせいなのか、刀の保存状態の違いなのか、分からない。それとも、刀との相性があるのかもしれない。
まとめ
このように一部展示については、東京国立博物館以上の展示がある。それは、國學院大學がつくられた経緯もあるだろう。現在でも驚いたことに、神職の資格をとることができるのは、この大学含め2校しかないとのこと。(もう1校は、皇學館大学)
ここにしかない「神道」や「縄文土器の文様」といった展示。他では見ることのできないもの。そういったことから、大学ミュージアムの中でも評判高いのだろう。
ただ前述の通り、駅からは遠い。バスの方が便利。けれど、これだけ見応えがあるので、期待外れになることはない。もし歩いて体は疲れても、心は満たされるはず。
余談になるが、國學院同様、皇典講究所が母体となる大学はもう1校ある。それは、日本大学。つまり、この2校の過去を辿ると、意外にも同じところにたどりつく。ちょっとした雑学である。
國學院大學博物館 基本情報
開館時間:10時から17時まで
休館日:不定期(館内保守、大学の定める休日)
入館料:無料
電話番号:03-5466-0359
住所:東京都渋谷区東4-10-28
(学術メディアセンター地下1階)
JR山手線「渋谷駅」より徒歩13分
JR山手線「恵比寿駅」より徒歩15分
地下鉄「表参道駅」より徒歩15分
駐車場:なし
併設カフェ:あり、キャンパス内に3ヶ所(日曜定休)
※一番近いのは、博物館の上の階
併設ショップ:あり
図書コーナー:あり
サービス:エレベーターあり、多機能トイレあり(地下1階)
イベント:あり、展示に関連する講演会やミュージアムトークが開かれる
公式サイト:
http://museum.kokugakuin.ac.jp/
近隣施設:白根記念渋谷区郷土博物館・文学館
地図: