心を知る、文京区の「三菱史料館」へ

 

文京区の湯島にある「旧岩崎邸庭園」。訪れたことのある人もいるだろう。岩崎家の邸宅と庭が、公園として整備されている。

 

「岩崎家」といえば、三菱財閥の創業家にあたる。誰もが名を聞いたことのある「三菱」。三菱商事、三菱東京UFJ銀行、三菱重工業といったそうそうたる企業がならぶ。

 

かつて邸宅があったためか、周辺には三菱の施設が置かれている。その中の一つが、三菱経済研究所である。

 

本日の訪問先

三菱史料館

『三菱史料館』

 

正式名称は、公益財団法人三菱経済研究所付属三菱史料館。三菱経済研究所の1階に、開設された史料館である。創業125年を記念してつくられた。三菱のこれまでの歩みが語られている。

 

 

展示について

三菱史料館

左側:岩崎彌太郎の像

右側:「三菱のあゆみ」を放映

 

展示室内は、撮影禁止。

 

三菱の社史の中から、その一部をご紹介!

 

岩崎彌太郎生い立ち

1835年、現・高知県安芸市生まれ。浪人の子として貧しい家だった。けれど、土佐一の儒学者・岡本寧浦に師事する。江戸で働くことが決まった学者・奥宮慥斎の付き人として、江戸へ行く。

 

しかし、父親のトラブルのため郷里へ戻る。すると、自身も巻き込まれ投獄されてしまう。出獄後、吉田東洋が開いていた私塾に入る。そこで、後藤象二郎に認められ、紹介された土佐藩の貿易に従事する。

 

 

三菱のはじまり

明治政府は、廃藩置県に伴い、藩営事業を禁止する。

 

1870年、土佐藩の有力者は、九十九商会を設立し藩の海運事業を譲渡した。その際、事業に精通している岩崎彌太郎が経営を担う。

 

「三菱のはじまり」である。

 

1873年、社名を「三菱商会」と改称し、岩崎彌太郎自ら「社主」に就任する。

 

おかめの面

彌太郎は、三菱商会の店頭に「おかめの面」を掲げた。お客様に温和な顔つきで接し、和やかな気分を与えるためである。

 

笑顔の出来ない人には、小判が描かれた扇子を渡し、「お客を小判と思うように」と指導したとのこと。

 

この話を福沢諭吉は、「商売の本質を知っている」と慶応義塾生に語ったという。

 

 

三綱領(さんこうりょう)

第四代社長・岩崎小彌太によって示された。現在まで受け継がれる、三菱グループの経営理念。

 

““ 

所記奉公:期するところは社会への貢献

事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献する。

 

処時光明:フェアープレイに徹する

公明正大で品格のある行動を旨とし、活動の公開性、透明性を堅持する。

 

立業貿易:グローバルな視野に立って

全世界的、宇宙的視野に立脚した事業展開を図る。

 

(三菱史料館:展示解説より引用)””

 

この3つの言葉は、「三菱のDNA」ともいわれている。

 

 

 

まとめ 

三菱史料館

展示室は小規模のため展示品は多くない。(広さは、大きめのコンビニぐらい)だが、三菱の社史が分かりやすく簡潔に説明されている。

 

岩崎彌太郎が創業した「三菱」。最初は海運、そして事業は陸へ。保険、銀行、鉱山など多岐にわたり、戦前は「三菱財閥」と呼ばれた。GHQによる財閥解体後も、「三菱グループ」として再生。

 

「三菱は岩崎家一個のものではなく、国家社会のための三菱である」という考えのもと、今日ではあらゆる分野にグループ企業が存在している。2019年3月現在、625社。

 

日本最大の企業グループともいえる、「三菱」。史料館では、おかめの精神、三綱領といった三菱の基礎を築いた先人達の精神に触れることができる。三菱グループの人たちには、「初心にかえる」場所であろう。そして、三菱の「心」を知るところであった。

 

 

 

三菱史料館 基本情報

開館時間:10時から16時30分まで

 

休館日:土曜、日曜、祝日、年末年始

 

入館料:無料

 

電話番号:03-5802-8673

 

住所:東京都文京区湯島4-10-14

千代田線「湯島駅」(1番出口)より徒歩6分

各線「本郷三丁目駅」より徒歩10分

 

駐車場:なし

 

併設カフェ:なし

 

併設ショップ:あり、三菱関連の書籍やDVDが販売されている

 

図書コーナー:あり

 

公式サイト:

http://www.meri.or.jp/shiryo/mer300j.htm


 

地図: