東洋学園大学と聞いて、「フェニックス・モザイク」がすぐに思い浮かぶ人は、あまりいないのではないだろうか。建築系の勉強をしたことがある人なら、知っているかもしれない。
名称を知らなくても、見たことがある人はいるのでは。なぜなら東京ドームから本郷へ向かう道のり、あの大きなモザイク画は、必ず目につくはずなので。
そのモザイク画が、「フェニックス・モザイク」である。そしてモザイク画のある建物が、東洋学園大学の校舎になっている。
本日の訪問先
『東洋学園大学』
交通量の多い壱岐坂通りに面している。壁画は、スペインの芸術家アントニオ・ガウディのモザイク装飾のようだ。
フェニックス・モザイク
作品名『岩間がくれの菫花』
1960年、東洋女子短期大学設立10周年を記念し、学園のシンボルとして新校舎に制作。翌年、完成。
デザインと制作指導は、今井兼次。
2007年、新校舎建設にあたり原型のまま保存した。旧校舎には5作品あったが、現存しているのはこの1作のみ。
今井兼次について
1895年生まれ1987年没。建築美術家、早稲田大学名誉教授。
フェニックス・モザイクは、今井兼次作モザイク壁画の総称である。他に、大阪・本町ビル、長崎・日本26聖人殉教記念館など。
ガウディを高く評価し、日本に紹介した人物であるため、壁画には、彼の影響が。
ガウディ以外にも、ル・コルビジェ、サーリネンなど初めて日本に紹介。
東洋学園史料室
史料室のある4号館
中に入る前に、壁画のある1号館で受付(学外の人が訪れる場合、総務課で受付が必要)
総務課に入った瞬間、飛び込み営業のようなアウェイ感に驚いた。(笑)受付に行っても、人が来るまでタイムラグあり。その後の対応は、丁寧であった。もう少しWelcome感が欲しい!
史料室
6階の端に位置する。隣は、普通の教室。室内は、撮影禁止。
東洋学園沿革
1917年、明華女子歯科医学講習所開校
1921年、専門学校令による明華女子歯科医学専門学校に改組(女子初)
1926年、東洋女子歯科医学専門学校、文部大臣指定校(女子初)として創立
1947年、学制・医制改革により女子歯科医専募集停止
1950年、新制・東洋女子短期大学開学
1992年、東洋学園大学開学
展示について
前身が歯科医学専門の学校であったため、歯科系の展示物もある。かつて使用されていた歯科器具、歯科用チェアなど。東郷平八郎元帥の総義歯もあった。
他に、創立者・宇田尚の説明から、明華から東洋に変わった経緯など解説されている。そして、東洋学園の創立から現在までの資料が展示されている。
室内はあまり広くないため、展示品を随時入れ替えしている。
まとめ
フェニックス・モザイクを制作した今井は、不要になったもの、小さな粗末なもの、それが数多く集まると大きな生命力になると考えていた。
そのため信楽焼きのタイルだけでなく、交友・教職員から集められた陶器の破片を用いて壁画を完成させた。
また、建学の精神は、「自彊不息(じきょうやまず)」である。毎日努力を怠らなければ、必ず何かの成果をあげることができるという意味。
「フェニックス・モザイク」と「建学の精神」
一見違うもののように見えるが、共に伝えていることは、どんなに小さくても日々続ければ、たとえそれがどんな一歩であれ、いつか大きな成果になるということ。
そして、フェニックス(不死鳥)のように、たとえくじけそうになっても甦り、社会を変革する人物になって欲しいと語りかけている。
東洋学園史料室
開館時間:9時30分から16時30分まで
休館日:土曜、日曜、祝日、年末年始、夏季休暇、大学の定める休業日
入館料:無料
電話番号: 03-3811-1783
住所:東京都文京区本郷1-27-1
本郷キャンパス4号館6階
各線「本郷三丁目駅」より徒歩7分
各線「水道橋駅」より徒歩7分
駐車場:なし
図書コーナー:なし
サービス:エレベーターあり
公式サイト:
地図: