記録文学とも称される、荒川区の「吉村昭記念文学館」へ

 

2011年3月11日に起きた「東日本大震災」。大きな揺れを経験した人にとっては、忘れられないもの。それによって発生した大津波を覚えている人も多いだろう。

 

当時話題になった小説『三陸海岸大津波』。なぜかというと、実際に発生したできごとと、類似する点が多かったため。著者は、吉村昭。

 

氏の小説は、記録文学やノンフィクション小説と呼ばれる。綿密な取材で本当にあったことを基に書いているからだ。

 

没後、荒川区に文学館が開設されている。

 

本日の訪問先

ゆいの森あらかわ

訪れて、あまりの立派っさに驚いた。「まさか、これ全て?!」と早とちりしてしまいそう。実際は荒川区の複合施設になっており、一部が文学館である。

 

2017年3月26日に開館。『ゆいの森あらかわ』 という名称である。

 

敷地面積:4,100平方メートル

延床面積:11,000平方メートル

階数:地上5階、地下1階

 

建物は免震構造になっており、災害時には避難所にもなる。

 

この中に、『吉村昭記念文学館』がある。他にも、中央図書館・ゆいの森こどもひろば・カフェなど、あらゆる世代が活用できるようになっている。

 

館内は撮影禁止のマークがあった。そのため、写真は一切ない。目を見張るほど綺麗な館内。お見せできないのは、残念である。ぜひ1度ご自身の目でご覧になって欲しい。

 

 

吉村昭記念文学館

吉村昭は生前、荒川区民の税金を使って文学館を建てるのは本意ではないと固辞していた。しかし、区長の熱意におされ、区の施設と併設であればと受けることになる。そういった経緯から、「ゆいの森あらかわ」内につくられた。

 

館内の紹介の前に、「吉村昭」とはどのような人物であったのか、略歴をご紹介。

 

1927年、現在の荒川区東日暮里生まれ。1944年に母、1945年に父と相次いで他界。1948年、喀血(かっけつ)した。そのため手術を受け、肋骨5本を切除する。学習院大学中、本格的な執筆活動が始まる。1966年には、『星への旅』で太宰治賞を受賞する。その後、『戦艦大和』『関東大震災』『破獄』など、数々の作品を執筆した。2006年癌のため自宅療養中に、自ら点滴とカテーテルを引き抜き死去。妻は、小説家の津村節子。

 

展示内容とは関係がないのだが、文学館に入った瞬間、「温度が違う!」と思った。貴重な資料があるので、温度湿度管理がなされているからだろう。

 

展示は、2階と3階に分かれている。吉村昭の生涯が資料とともに紹介されている。「再現された書斎」「戦艦武蔵の模型」「映像コーナー(吉村作品の舞台紹介・吉村氏に関する証言)」「自筆原稿紹介コーナー」「津村節子コーナー」といった具合になっている。

 

2つのフロアを使っているが、あまり広くはない。それゆえ展示数はあまり多くはない。人によってはすぐに見終わってしまうだろう。けれど、映像資料はなかなか充実している。さらに、3階は企画展示のため、定期的に内容が入れ替わるようになっている。

 

 

まとめ

吉村昭記念文学館

訪れて思ったことは、文学館を目的に訪れるというより、同施設内にある図書館などと併せて行くのがお勧め。

 

そして吉村昭について学んだことを図書館で調べる。あるいは、図書館で知ったことと著書との類似点を見つける。それが一番良いのではないかと個人的には思った。

 

氏の本が、記録文学といわれるようになった所以(ゆえん)。時代背景、現地調査、関係者聞き取り等、入念な取材と綿密な調査を行い、それをもとに検証し、事実のみを描こうとしていたから。

 

だからこそ、『三陸海岸大津波』は、実際に発生した津波と被る点が多かったのだろう。もし多くの人がこの本を読んでいれば、あれほど沢山の人が津波で亡くならずにすんだかもしれない。

 

もうすぐ起きるといわれている、関東大震災。吉村昭が書いた『関東大震災』を読んで、もしもの時に備えるべきではないだろうか。

  

 

デート向き ★★☆☆☆

こども向き ★☆☆☆☆

外国人向き ★☆☆☆☆

(5段階評価、★が多い方が向き)

 

 

 

吉村昭記念文学館 基本情報

開館時間:9時30分から20時30分まで

 

休館日:年末年始、毎月第3木曜

 

入館料:無料

 

電話番号:03-3891-4349

 

住所:東京都荒川区荒川2-50-1 2・3階

(ゆいの森あわかわ内)

各線「町屋駅」より徒歩8分

 

駐車場:あり(12台)

※最初の30分無料、以降30分ごとに200円

 

併設カフェ:あり(1階)

 

併設ショップ:あり、図録などの販売

 

図書コーナー:あり

 

サービス: 車イス対応エレベーターあり、多機能トイレ(各階)

 

公式サイト:

https://www.yoshimurabungakukan.city.arakawa.tokyo.jp/


地図: