北区「荒川治水資料館アモア」へ、災害予想地図は必見!

 

かつて荒川(現在の隅田川)周辺では、頻繁に洪水が発生していた。その中でも、明治43年(1910年)の大洪水は、死者が約700人に及んだ。

 

これにより明治政府は、本格的な治水を考える契機となった。荒川の治水のため、荒川放水路をつくることが決まる。

 

荒川放水路を含めた荒川の治水について学ぶことができる施設、もちろん荒川の近くにある。しかも、荒川と隅田川の分岐そばに。

 

本日の訪問先

荒川治水資料館

『荒川治水資料館』

 

荒川の治水に関する歴史だけでなく、もし洪水が発生した場合どういった被害が予想されるのか解説されている。

 

治水の歴史→現在の状況→ハザードマップ(災害予想地図)の順に見学すると、非常に内容が分かりやすい!

 

あくまでも主観だが(笑)

 

 

展示について

荒川治水資料館

館内は、3つのフロアに分かれている。

 

治水の歴史を知るには、まず2階へ!

 

荒川治水資料館

明治の頃まで荒川流域では洪水が頻発。(当時は、「洪水」ではなく「大水」と呼ばれていた)そのため多くの人は、軒下に舟を用意し水害に備えていた。

 

前述の通り、明治43年に起きた大洪水の甚大な被害により、荒川放水路をつくることになった。

 

「荒川放水路」と聞いても、現代では、その名で呼ばれていないので、どういったものなのかイメージが沸かないだろう。実は、「荒川」と呼ばれている川のこと。

 

どういうことかと説明すると、荒川の河口から上流22㎞までの間は、人工的につくられた「荒川放水路」である。

 

「荒川放水路」が1930年に完成した後、本流とされ「荒川」と呼ばれるようになった。

 

今日「隅田川」と呼ばれている川は、もとは「荒川」と呼ばれていたもの。(厳密にいうと、荒川と下流の方は隅田川といわれていたものが全て隅田川と呼ばれるようになった)

 

そして、荒川放水路の工事を統括した人物が「青山士(あおやまあきら)」である。

 

荒川治水資料館

青山士コーナー

 

青山士とはどういった人物であったか。

 

1878年、現静岡県磐田市生まれ。東京帝国大学卒業後すぐに、日本人で唯一パナマ運河の工事に参加した。帰国後、学んだ技術を生かし、荒川放水路、鬼怒川、信濃川大河津分水路など多くの治水工事において指揮をした。

 

話は戻り、荒川放水路は、1913年に工事が始まり、1930年まで17年続いた大事業であった。

 

工事期間中の1923年には、関東大震災が起こり、あちこちに被害が出る。しかし、青山が監督した旧岩淵水門は、全くびくともせず、被害はなかった。

 

放水路完成後、荒川、または隅田川周辺では、洪水に見舞われることはなくった。

 

現在では、老朽化のため、新しくつくられた岩淵水門が使われている、

 

そして、次は3階のテラスへ!(急いでいる人は、3階を飛ばして良い)

 

荒川の全体像を模型で見てみよう!

 

荒川治水資料館 

上流のダムから下流までの荒川を再現。川底や川岸など取り換えパーツがあり、それによって、水の流れがどのように変化するか、水門や堤防などの施設が持つ役割を学習しながら体験できる。

 

しかし、老朽化が激しいため、あちこち傷んでいる!

 

確かに視覚的に理解できる装置だが、是非リニュアルをしていだけると、より見やすく分かりやすくなる。

 

役割を学習したら、再度2階へ!

 

荒川がもし氾濫した場合、どうなるのか知ろう。

 

ロンドンを流れるテムズ川の断面

荒川治水資料館

川が、市街地の一番低いところを流れている。

 

一方、日本の場合はどうだろう。

 

荒川の断面

荒川治水資料館

見て分かるように、市街地より高い部分を川が流れている。

 

もし、地震などで上流にあるダムが決壊し、大洪水が発生した場合、どうなるのか。

 

断面を見れば、おのずと答えは出るだろう。

 

荒川治水資料館

 

実際に、荒川下流域で洪水が起きた場合、どんな様子になるのか。想定したものを、見ることができる。

 

荒川治水資料館

モニターにある地域を選択する

 

荒川治水資料館

そうすると正面モニターに、洪水により水位が上がっていく様子が映し出される。

 

もちろん、実際に発生しているわけではなく合成だが、自分の住んでいる地域が、こんな風になるかもしれないと目で分かる。

 

これを見れば、誰でも自宅周辺はいったどうなるのかと、必ず気になる。

 

どこで確認すればよいのかと思った方、ご安心を!

 

そのまま、1階へ

 

荒川治水資料館

モニターがあり、地形図だけでなく、浸水想定図もある。

 

他に、家でも確認できるよう、持ち帰り可能なハザードマップも置いている。

 

浸水予想や治水の歴史について、さらに知りたい人は、同じく1階に図書コーナーがあるので、そちらのご活用を!

 

 

まとめ

荒川治水資料館

 

アモアという名前からオシャレな感じの資料館かと勝手に思っていた。訪れてみると、調整中のところもあり、なかなか古さを感じる館内だったが、1998年開館のためしかたがない。

 

オシャレさより、大事なのは展示内容である(笑)

 

東京に住んでいれば、荒川を必ず一回は通ったことがあるはず。その歴史を学べるだけでなく、荒川の浸水予想を知ることができる。

 

この施設で一番大切なことは、浸水に対する危機管理意識を高めることだと個人的には思う。だからか、荒川に住む昆虫や生き物の展示など子供が喜びそうな展示もあるが、ほとんどの展示は大人向け。

 

もうすぐ起こるかもしれない関東大震災、それに備えてハザードマップを必ず見よう。訪れるのが難しい方は、国土交通省のサイトにハザードマップがあるので、そちらでご確認を。

 

 

デート向き ★★☆☆☆

子ども向き ★★☆☆☆

外国人向き ★☆☆☆☆

(5段階評価、★が多い方が向き)

 

 

 

荒川治水資料館アモア 基本情報

開館時間:平日9時30分から17時まで、土日祝10時から17時まで

 

休館日:月曜(祝日は開館)、祝日の翌平日、お盆、年末年始

 

入館料:無料

 

電話番号:03-3902-2271

 

住所:東京都北区志茂5-41-1

各線「赤羽駅」(東口)より徒歩20分

南北線「志茂駅」または「赤羽岩淵駅」より徒歩15分

 

駐車場:専用駐車場はなし

(公共交通機関のご利用をお願いしている)

 

併設カフェ:なし

 

併設ショップ:なし

 

図書コーナー:あり(1階)

 

WiFi:あり

 

サービス:エレベーターあり、多機能トイレあり(各階)

 

公式サイト:

http://www.ktr.mlit.go.jp/arage/arage_index007.html

 

地図: