ふみのみやこ「文京ふるさと歴史館」文京区本郷

 

東京都文京区といえば、「歴史がある」「文化的」「学術的」といったイメージをいだく。土地勘がなくても、「文京という名称」と「東京大学のある区」と聞けば、アカデミックな雰囲気を感じるだろう。

 

東京大学以外にも、お茶の水女子大学や学習院大学など教育機関が多い。また、鳩山家や田中角栄といった政治家だけでなく、森鴎外や夏目漱石といった文化人も多く住んでいた。

 

そして「弥生時代」という言葉。いっけん文京区とどのように関係があるのか分からない。縄文時代の、次の時代である弥生時代。実は、この「弥生」と呼ばれるきっかけになった土器が、文京区で発見されたのだ。

 

他にも様々な歴史が文京区にはある。それらを知ることのできるミュージアムが、本郷に開設されている。

  

本日の訪問先

文京ふるさと歴史館

『文京ふるさと歴史館』

 

1階と2階が常設展示、地下1階が企画展示になっている。ただの展示だけでなく、道具に触れるだりパズルがあったり体験コーナーもそろっている。

 

その中から気になったものを、ご紹介!

 

 

歴史館・1階

古代から歴史の順かと思いきや、江戸時代の大部分は2階で展示。そして、近代の一部は1階で紹介されている。時系列がならんでいないのは、展示スペース上の関係からかもしれない。1階は、文京区の古代・江戸・近現代について紹介されている。

 

映像システム

文京ふるさと歴史館

 映像と文京区の地形を使って解説される。文京区は坂が多い。理由は、火山灰が積り台地が生まれた。その後、雨などによって削られて、低地ができたため。

 

体験コーナー

文京ふるさと歴史館

粘土に道具を使い、紋様をつける体験

 

土器パズル

文京ふるさと歴史館

竪穴住居の模型両端に、土器パズルが設置されている。

 

 

文京ふるさと歴史館

初級者用は、90秒以内。中級者用は、60秒以。と難易度が2種類あるので、ぜひ挑戦してみて欲しい! (意外と難しい…)

 

 

奇妙氷人石(きみょうひょうじんせき)

奇縁氷人石

江戸時代、誰も知らない町で人を探すときに使われた石。この石に名前などを書いた紙をはり、知っている人の回答を待った。文京区にある湯島神社には、現在でもこの石が残っている。

 

 

ジグソーパズルコーナー

文京ふるさと歴史館

前述した土器パズル以外に、ジグソーパズルもある。老眼鏡も貸し出してくれるので、

どなたでも楽しめる。1階のコーナーに先客がいても、2階にもあるので諦めずトライ!

 

 

清和寮

清和寮

男性単身者専用集合住宅として、1930年に竣工する。「理想的な文化生活」を目指し、浴室、社交室があり、ガス暖房、ダストシュート、水洗便所など当時の最先端設備が導入。給与所得が高い独身男性が、数多く入居していた。1976年に解体。

 

 

大塚消防出張所

大塚消防出張所

大塚三丁目交差点近くに、洋風レンガ造りの消防出張所があった。

 

1931年に建てられ、火の見櫓(ひのみやぐら)付きの消防署としては都内で最も古かった。しかし、老朽化と春日通り拡幅工事のため、1993年に取り壊し。展示されているのは、「左側:避雷針」「右側:雨樋」となる。

 

 

歴史館・2階

文京ふるさと歴史館

2階は、江戸時代の様子や、ゆかりある文化人の紹介など。

 

 

駒込のやっちゃば

文京ふるさと歴史館

江戸時代の初め、天栄寺門前で野菜を売ったのが「やっちゃば」の起こり。やがて青物問屋がならび、「駒込のやっちゃば」と呼ばれる。

 

大根、ごぼうなど土つきの野菜を多く扱ったため「駒込土物店」ともいわれた。

 

文京ふるさと歴史館

青物市場をやっちゃばと呼ぶのは、野菜を売る声、セリの声など業者の話口調から生まれたといわれている。

 

 

暮らしの道具

文京ふるさと歴史館

江戸・明治時代に使用された道具が展示

 

文京ふるさと歴史館

狸・兎・亀が描かれた火鉢

 

 

団子坂菊人形

文京ふるさと歴史館

明治時代、秋の観光名所として賑わった団子坂。団子坂には多くの植木屋がおり、菊を細工し人形にすると大評判になる。多くの人はそれを目当てに訪れた。

 

 

 

文化の風景

文京ふるさと歴史館

文京区と縁のある文学者が紹介されている。 紀行文『奥のほそ道』の松尾芭蕉、『南総里見八犬伝』の作者・曲亭馬琴、『たけくらべ』の作者・樋口一葉など。

 

 

昌平坂学問所

昌平坂学問所

もとは私塾であったが、江戸時代5代将軍徳川綱吉により湯島へ移転した。そして、幕府直轄の学問所となる。中国から伝わった朱子学を中心に教育を行う。明治に入り新政府に引き継がれたが、1871年に閉鎖した。現在残る湯島聖堂は、昌平坂学問所の一部であった。

 

 

昭和前期の子供向け道具や読み物

文京ふるさと歴史館

クレヨン、筆箱、黒塗りの教科書など

 

文京ふるさと歴史館

豆本、かるた、鉱物標本など

 

 

歴史館・地下1階

文京ふるさと歴史館

企画展示『いきもの大集合!』(2019年3月17日まで開催されていた)

 

文京ふるさと歴史館

収蔵品の中から、「いきもの」に関する資料が展示されている。

 

蛍光灯

文京ふるさと歴史館

蛍は、水辺の草むらに住み、夜に光る。蛍光灯は、紫外線がガラス管内に塗られた蛍光剤にあたることで光る。紫外線は、資料を退色させる。そのため、ミュージアムでは、紫外線の出ない専用の蛍光灯を使用している。近年では、蛍光灯ではなく、LEDが増えている。分かりづらいが、「蛍」と「蛍」光灯をかけている。

 

 

文書箱とテンバコ

文京ふるさと歴史館

左側:文書箱

中性紙でつくられ、紙製の資料を保管するときに使われる。中性紙は、中性の紙。なぜ中性が良いのかというと、酸性紙だと紙の劣化が早いため。(紙が大量生産されるようになった時代は、全ての紙が酸性紙だった)

 

右側:テンバコ

プラスチック製で、道具や遺跡からの出土品などの資料を入れる。

 

蛍光灯と蛍は、まだ蛍という共通点を理解できる。しかし、容器と生き物の住処のつながりは、難易度が中々高い(笑)

 

 

 

まとめ

東京都23区内にある郷土資料館の中では、展示が充実している方ではないだろうか。

 絵やパネルだけでなく、立体的に視覚できる模型も多いため。

 

そして文京区の名前の通り、「ふみのみやこ」。昌平坂学問所をはじめ、東京大学といった教育機関が数多くある区。

 

これまで、渋谷区、荒川区、文京区と資料館めぐりをしてきた。


それぞれ、展示に力を置いている時代が異なるのも面白い。

 

渋谷区:戦後〜現代
(東京オリンピック、ファッションの聖地)

 

荒川区:江戸〜昭和初期
(伝統工芸、職人、工業の発展)

文京区:弥生・江戸・明治
(土器、文豪、教育)

 

次は、何区かまだ未定!

 

 

<雑学>「弥生」について

1884年に、東京府本郷区向ヶ岡弥生町(現・東京都文京区弥生、東京大学工学部近く)の貝塚らしき跡地で、土器が発見される。地名より、弥生式土器と呼ばれるようになった。そして、弥生時代の名称のもとになった土器である。

 

発見された土器は、東京大学で保管されており、文京ふるさと歴史館には複製が展示されている。

 

弥生とは、春という季語。江戸時代に置かれた歌碑に「弥生」の言葉があったことから、明治以降に「弥生町」という町名につけられた。

 

 

 

文京ふるさと歴史館 基本情報

開館時間:10時から17時まで

 

休館日:月曜、第4火曜、年末年始(祝日の場合は開館、翌日休館)

 

入館料:大人100円

 

電話番号:03-3818-7221

 

住所:東京都文京区本郷4-9-29

各線「本郷三丁目駅」より徒歩5分

各線「春日駅」より徒歩5分

 

駐車場:なし

 

併設カフェ:なし

 

併設ショップ:あり

 

図書コーナー:あり(1階)

 

写真撮影:条件付きでOK。受付で申請するとすぐに許可がおりる。書類に住所、名前、使途などを記入するだけで難しい申請ではない。

 

サービス:エレベーターあり、多機能トイレあり、車イス貸出あり

 

イベント:毎週土曜・日曜の13時から17時まで、無料の常設展示ガイドあり

 

公式サイト:

https://www.city.bunkyo.lg.jp/rekishikan/index.html

 

地図: